第7回公募増資お礼と今後のGPP経営方針

公募増資ご協力ありがとうございました。
御礼と合わせて、この資金がどのように生かされるか、今後のGPP経営方針をお示しします。

グリーンピープルズパワー(GPP)の第7回公募増資へのご協力ありがとうございました。80人を超える多くお方にご支援いただき、おかげさまで2300万円を超えました。
目標額の3000万円には届きませんでしたが、大切に使いながら、「脱市場・脱FITプログラム」を実現していきたいと思います。
「脱市場・脱FITプログラム」は、GPP電気をすべて「非FIT」の太陽光と風力のエネルギーにするというものです。実現すれば、再エネ100%はもちろん「非FIT」なので非化石証書など購入しなくてもCO2ゼロになります。
再エネ100%電気、しかもCO2ゼロの電気を供給することは、当社が設立のときから目指してきたものです。「脱市場・脱FITプログラム」は、電気の市場価格高騰を乗り切るために考え出しましたが、実はGPP設立の目標を一気に実現する方法でした。

市場価格高騰に対して、なぜ「脱FIT」でしょう

再エネ電気は化石燃料とは無縁のはずなのに、なぜ市場価格高騰で大打撃を受けるのかと不思議に思うかもしれません。なぜなら、日本のFIT再エネの電気は「市場価格連動制」になっているからです。
FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を後押しするため2012年に作られた制度です。一定期間、一定価格で購入することを保証し、発電事業者の事業収支を助けました。この制度のおかげで、日本の太陽光発電は5倍になりました。

2012~2016年に認定を受けた案件は小売会社が直接購入する「小売買取」でしたが、2017年度以降に認定を受けた案件はすべて「送配電買取」になりました。これは、一度送配電会社が買い取って小売会社に引き渡す「特定卸供給」という仕組みです。小売会社は卸価格で受け取るのですが、その卸価格が市場価格連動制とされたのです。
つまり、FIT再エネ電気の仕入れ代金は、化石燃料価格に影響される「市場価格」と同じにされてしまったのです。

電気の市場価格は、昨年10月から9ヶ月連続で平均価格が20円/kWhを超え、最近は30円/kWhを超えることもしばしばです。GPPの電気料金の前提としている電気の仕入れ価格は10円/kWhです。
ということは、10ヶ月連続で想定の2倍の価格がFIT再エネにも請求されており、当然、赤字は膨らむばかりです。だから「脱FIT」です。

「脱市場」の意味は、脱市場価格

電気の市場価格というのは、日本電力卸売市場(JEPX)の前日市場で決まった価格のことを指します。JEPXは国営ではなく民間で、あらゆる電力会社が電気を売り買いする市場として開設されています。
前日市場の他、1時間前市場、先物市場などがありますが、最も多く利用されているのが前日市場です。これは電気の実需給の前日10時までに、市場を利用する各社が売入札と買入札を行うことで成立します。売入札と買入札は1日分(30分ずつ48コマ)の計画に基づいて行います。電気は「なまもの」で作ったらすぐに使わないといけません。30分の中で各新電力が需要と供給を一致させるために多く利用するのが前日市場です。
日本全体の電力需要に対するJEPX市場の比率は実質2割程度ですが、新電力のシェアは3割に達しています。

しかし、発電所の8割は東電や関電などの昔からの電力会社(旧一般電気事業者)が保有しています。つまり、旧一般電気事業者(旧一電)が、必ず1割の電気を売入札しないと新電力全体には電気が行き渡りません。結果、旧一電が電気の売入札を少し減らすだけで、市場価格は急騰する仕組みになっています。まったくもって不完全な市場です。
この市場を使わないという事はできないのですが、基本的に買わないことはできます。市場価格に左右されない発電所からの仕入れを行えばよいのです。それを「脱市場」と呼びます。

脱FITと蓄電池VPP

GPPでは2023年の3月に非FIT風力発電(1.5MW)との契約がスタートする予定です。
非FIT太陽光発電の調達(仕入れ)は、すでに300kWを超えています。来年3月までには700kWを超える予定で、そこに風力発電も加わるのです。合計2200kWで、GPPの「脱FIT」として量的には十分です。ただ、夜の電気供給は風力発電だけになってしまうので少し不足します。それを補うのが蓄電池VPPです。

蓄電池VPPは昼間に太陽光発電の電気を充電し、夜に蓄電池から送電線に電気を流すというものです。また、蓄電池VPPだけでは足りないので、施設型蓄電池も使います。夜の電気使用量の多い施設に蓄電池を設置して、昼間の電気を蓄電し夜に使ってもらい、夜に送電線から電気を購入するのを限りなくゼロに近づけます。
つまり、昼間は太陽光と風力で余るほどの電気を作り、余った電気を蓄電し、夜に風が弱くなってもGPPユーザーは蓄電池の電気で「脱市場」ができるのです。

蓄電池VPPはコストを回収できるのでしょうか

蓄電池VPPを作る費用は1億6500万円と見積もっています。
これが完成すると、GPPは市場価格高騰には全く影響されない非FIT再エネの電気をユーザーの皆さま全員に供給できることになります。これが「脱市場・脱FIT」の完成です。

GPPの非FIT発電所からの電気買取価格は12円/kWhです。市場価格が40円/kWhになっても200円/kWhになっても、GPPは12円/kWhの電気を仕入れることができます。
事実、12円/kWhの仕入れ価格は安くありません。GPPメニューの想定仕入れ価格は10円/kWhですから、それが12円/kWhになることを意味します。これまで通りの利益を得るには料金値上げが必要になります。とりわけ高圧契約の料金は全く現実に合わないものになり、大きな料金値上げが必須です。
しかも、2022年にはまだ蓄電池VPPも非FIT風力もありません。
8月請求分から発電原価調整額を値上げさせていただきましたが、それだけでは現状の「逆ざや」による赤字解消には不十分で、現実にあった料金制度にすることが必要です。
昼間は非FIT太陽光発電が増えてきて市場価格高騰の影響を和らげていますが、それができない夜の市場価格の高騰の影響は今が最も激しいのです。
そこで、当社料金を夜の方が高い「昼とくメニュー」に変更する予定です。そのような料金の変更も行った上で、まずは、きちんと利益を出せる体制に移行します。その後10年間の利益で蓄電池VPPの費用は十分に回収できる予定です。

100%再エネの時代に突入

まずは、現在の約1000人のお客様にきちんと再エネ100%の電気をお届けし、利益を出して黒字化を達成します。
しかし、お客様が増えればその分の非FIT再エネを確保することが必要になります。発電所との契約で増やせる部分はカバーできますが、発電所の自社開発や新たな蓄電池VPPの開発になるとまた資金が必要になります。
蓄電池VPPスタート時点では、多くの借入金や出資金への返済が優先ですが、2024年には返済のペースも安定してくることが予想されますので、その頃には、「昼とくメニュー」として値上げさせていただいた料金を段階的に下げることもできるようになります。

2022年の大改革を経て、利益をお客様や株主に還元しても利益を残せる体制が出来上がります。その後は「再エネ100」「CO2ゼロ」を維持しながら、ユーザーと発電所をバランスよく増やしていくことに力を注ぎたいと思います。
どうか、「本当の再エネ電気」を供給する、GPPをこれからも末長く応援してください!
みなさまの力で、一歩一歩進んで行きたいと思います。

2022年7月5日
グリーンピープルズパワー株式会社
代表取締役 竹村英明

GPP第7回公募増資説明会(2022年6月30日)

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